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日 時 平成19年6月2日(土)
天 候 晴れ 後 曇り
人 数 二人
行 程 中の湯温泉登山口(11:00)-登山道分岐(12:12)-焼岳山頂(13:25)
焼岳山頂(14:30)-分岐(15:35)-登山口(16:30)
アクセス 東海北陸道高山西ICより高山市街を抜け、平湯方面へ。
平湯より安房峠を越えて、中の湯温泉。
中の湯温泉旅館の上部に登山者用Pあり。
メモ
登山道分岐より南斜面上部は残雪が残り、トラバースには注意が必要。
雪は緩くアイゼンはあまり効きませんでした。


先月の乗鞍高原”せせらぎの湯”の深夜のランタン入浴がいたく気に入り、今回は焼岳登山とあわせて、新穂高温泉の無料露天風呂に行ってみることにした。
名古屋を夜9時過ぎに出発し、現地に到着したのは深夜1時すぎ。ここ新穂高の湯は、蒲田川沿いに建つ”槍見館”の入口近くにある。橋の下にあるため、日中は入浴客が丸見えとなるため、少し勇気のいる露天風呂だ。
車を止めてランタンを灯して階段を下りていくと、なんと先約が一人入浴していた。
なんでも私達と同じく、今日三河からやってきて、すでに近辺の温泉に入浴し、ここ新穂高の湯に浸かっているとのこと。お湯はヌル湯でお湯が流れ込んでいるところにいると、少しは体が温まった。その方のお話によれば、以前よりお湯の温度が下がったようで、昔は夏場は熱くて入っていられなかったらしい。
いつまでも入っていられそうだが、お腹が空いて倒れそう。 こんな時間になってしまったが、今宵のキャンプサイトを探しに車を走らせた。

薪ストーブで豪快にモツ鍋を食す! 温泉の噴気塔の近くのキャンプサイト 笠ケ岳の稜線が広がる
キャンプの準備は手馴れたもので、何を言わなくても、完全に役割分担が出来ていて、好物のサンマがおいしく焼き上がる頃に、ストーブの上のお米が炊き上がる。今回はモツ鍋をメニューに加え、ビールとワインでご機嫌になった。何といっても今日は○回目の誕生日である。幾つになっても誕生日は嬉しく、また特別な日を好きな山で過ごせるのだから、喜びもひとしおである。
白々と夜が明けてきたころ、ようやくテントをたてて就寝。

翌朝は快晴。深夜に選んだキャンプサイトは想像以上のロケーションで、近くには中尾温泉の噴気塔があり、ものすごい蒸気を上げている。山はようやく春の兆しといった様子で、絶壁のように立ちはだかる笠ヶ岳の稜線と麓の山の新緑とのコントラストが美しい。
焼岳方面を望めば、荒々しい北峰の頭が遠くに見える。
相方は今一つ焼岳登山に乗り気ではなかったが、私は一刻も早くあの残雪輝く山頂へ行きたかった。
平湯温泉までもどり、安房峠へ車を走らせる。
さほど荒れている様子はなく、トンネルが出来た後も、ある程度の交通量があるようだ。木々が低木になって笹の草原が広がりだすと峠は近い。
安房峠の茶屋は閉まっていたが、数台の車がとまり、目前に開かれた穂高連峰の姿に魅入っている。
私達も同じく車を降りてその大展望に溜息をつく。ふと小泉氏が「霜降りみたいだよなぁ」と一言。山肌についた雪渓の模様がちょうど高級肉の霜降りのように見えるのだ。「あの霜降りの入り方はA5ランクだね」などと冗談を言いながら、登山口へと向った。
山肌につく雪渓が”お肉の霜降り”に見えるのは私だけ?
登山口から駐車場が見える まだまだ登山道には雪が残る 登山道分岐地点から広がるカール
さすが土曜日とあって、駐車場は一杯。広くなった路肩に車をとめて出発。登山口からしばらく車道と並行して歩く。車道から転落したのだろうか?、朽ち果てて逆さまになった車が登山道をふさいでいる。異様な状態に少し怖くなって先を急いだ。
ジグザグの登山道をしばらく急登し尾根に取り付くと、傾斜は緩くなり、残雪交じりの登山道となった。
安房トンネルの出口(長野側)付近から登ってくるルートの分岐点あたりから焼岳南峰と北峰のコルが見え出し、活火山の荒々しい雰囲気となってくる。歩を進めると迫力ある岩場のカールが広がり、黒い雨雲が一層険しさを引き立てる。
焼岳南峰(左)とのコルに向かって歩く バックには乗鞍岳
雪渓をトラバースする登山者が遠くに見える ところどころに噴煙が上がる
ここからは雪渓歩きとなり、まずは見た目よりも傾斜のきつい斜面をトラバースする。下山してくる登山者は、疲れているのか足がよろよろになり見ていてヒヤヒヤした。雪がクサッっているため、足元が定まらず、バランスを崩しやすい。コルの直下までくると、コルに向かって真っ直ぐに登っていく。振り返ると下方まで続く雪渓に吸い込まれそうな錯覚を覚え、恐怖感が襲ってくる。下りが心配になった。
上方には岩場からモクモクと噴煙があがるのが見える。
汗だくになりながら一歩一歩慎重に登る 噴火口の横にできた火山湖

傾斜のきつい雪渓を歩く
雲行きが怪しくなってきた 山頂付近は硫黄臭がたちこめる
最後の急斜面を息を切らせながら登りきると、痩せたコルの向こうに火山湖が見える。
痩せ尾根を右の方へ回り、北峰を目指す。噴気孔があちこちに現れ、硫黄臭がたち込める。北峰の取り付きまでくると、ようやく穂高連峰など北側の展望が開け開放的な気持になった。岩場を慎重に登り北峰山頂にたどり着く。
焼岳は本当に展望が良い。あいにく今日は雲が出てきて穂高連峰や槍ヶ岳は鮮明に見えないが、360度、北アルプス南部の山々が広がる。
マウスをのせると画像がかわります 下山途中、山頂を仰ぎ見る
山頂から少し下った大きな岩場を占領し、チーズとビールで乾杯し、のんびりと過ごす。今日は陽が当たらず少し寒かったが、この開放的な山の頂で過ごす時間は最高だ。
すると不意にメールの着信音が鳴り、見てみると山仲間の一人からだった。なんと、偶然にも上高地からの写メールで、驚いて「今、上高地を見下ろしてますよ!!」とすぐに連絡をとる。
← 足がすくむ雪渓の斜面
すっかり体が冷え切ってしまったので、噴気孔の側の岩場で暖まる。まるで天然サウナのようで面白い。加えて硫黄臭までするので、温泉スチームに当たっているようだ。
雪渓を下る前に噴火口を覗いてみることにした。周りは鋭く切り立ち、ポッカリあいた黒い穴はいったいどれほどの深さなのか、時折落ちていく岩葛は音もなく穴に吸い込まれていく。不気味な光景だった。
ポッカリと口をあける不気味な噴火口 時折パラパラと落石が起こる 清々しいブナ林
雪渓の下り始めは少々腰が引けたが、慣れてくると快調に足も出るようになり、最後のトラバースも無事に渡りきった。
途中、若葉が清々しいブナの林を抜け、登山口へと駆け下る。

バースデー登山に焼岳を選んで良かった。まさに地中からのエネルギー溢れるこの山は、私をもエネルギーで満たしてくれた気がする。
後は乗鞍温泉に浸かれば完璧だ!(報告者:A)

<乗鞍高原温泉 けやき山荘>

木曽桧作りの小さな湯船に静かにお湯が掛け流されている
その向こうが露天風呂となっていて、温度の違う湯船が二つある。
白濁したお湯は少し青みがかかり、口に含むとたまご味と酸味をしっかり感じる。
プンプン香る硫黄臭に幸せを感じ、ヌル湯の露天でつい居眠り。
大好きな温泉である。

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