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日 時 平成16年7月12日(月)・13日(火)
天候 7/12:曇り→雨 7/13:雨
人数 二人
行程 7/12:燕温泉−妙高山−黒沢池ヒュッテ
                      (テント泊)
7/13:黒沢池ヒュッテ−三ツ峰−燕温
アクセス 長野自動車道 妙高高原ICより、燕温泉方面へ
燕温泉無料駐車場あり
意点(気づいたこ
・妙高山からの下りで一箇所小さな残雪あり
・大倉沢は増水時の通行注意 
・黒沢池テントは暴風、狂風。この日だけか??
・テント場の水は煮沸で可
・燕温泉に二箇所、無料野天風呂あり
温泉とスキーのメッカ、妙高山へ
私にとって、妙高という土地は何故が縁が深い。小学校のころ訪れて以来、シチュエーションを変えて、季節を問わずやってきている。子供ながらに、裾野の美しいどっしりとした妙高山はとても印象的だったし、カルデラ特有の見事な外輪山に囲まれて鎮座する妙高山を見ると、懐かしく爽やかな記憶が蘇ってくる。

この辺りの森は、北アルプスの山々とは違い、
森がモコモコとブロッコリーみたいになっていて、
密度が高いような気がする。
燕温泉は小さな温泉地。その名の通り、
燕が各宿の軒下に巣を作っているが、
そもそも温泉地の由来は、燕のように、
ある季節にしかこの地に帰ってこない
住人の生活を例えたようである。
登山口は温泉地のつきあたり。

無料の野天風呂を過ぎ、
快適な登山道を進むと
大きな滝が見える
引湯の作業小屋あり
かすかな硫黄臭
沢の水も白濁している。

北地獄谷をつめ、燕登山道を登っていく。
天狗平までは登りがきつい。まさに胸突八丁。
先を行く小泉氏の姿が見えなくなり、
心臓の音がドクドク聞こえてきそうなくらいの
ペースで到着。
うーん、久しぶりの山歩きはこたえるな。
おにぎりとみかんを食べて、しばしの休息。

天狗平からすこし登った光善寺池は池というより湿地帯のよう
外輪山と内輪山の間(谷間)には
こうした小さな池がたくさんある
ちょっとした鎖場もあり。
こうしたスリリングな岩場があると
メリハリもついて楽しい。
岩場を越えると、外輪山の尾根が雲の切れ間から
浮かび上がってきた。
ここからは、赤いペンキ印に導かれて、
むき出しの溶岩を急登していく。


山頂に祭られた妙高大神は、
この山に相応しく、威厳に満ちた
佇まいをみせる。
クルマユリが草木に彩りを添える ソバナ?


妙高山南稜の山頂から北峰を望む。
山頂から眺める外輪山や、ゴツゴツとした溶岩
は、火山活動によって形成された山であること
を物語っている。
遠くには、黒姫山のなだらかな稜線がチラリと
見えるが、すぐにガスに巻かれてしまう。
三角点があるのは、ここから3分程の北峰。
見たことのないお花が、花壇のように陳列し、
なんだか、この世のものとは思えない独特な美しさで、天昇してしまったみたい??

山頂より燕新道を下る。
振り返る妙高山は溶岩の山頂とは思えない
おだやかな顔をみせる。
大倉山との谷部には湿地帯が盆地のように望める。
青々とした湿地帯は、まるで毛並みのよい毛皮の絨毯みたい。
大倉乗越方面との分岐手前には小さな雪渓が残る。

大倉乗越までは、トラバースぎみにへつるように尾根へと出る。時期が早いと雪渓のトラバースになるようなので、注意が必要だ。
乗越からは歩きやすい登山道をなだらかに下ると、黒沢池ヒュッテのテント場に出る。
青いドーム型の屋根が珍しい黒沢池ヒュッテでは、立派なドーベルマン君がお出迎え。先客はなく、浸水の少ないテント場を確保することができた。
今晩のおかずは、頂き物のカニ缶を贅沢に使った、本格カニタマだ。持参した干ししいたけをもどし、卵とネギとカニをフライパンでふんわり炒める。味付けは塩味だけのシンプルなもの。でも、カニいっぱいで豪勢な味がしました。
ウイスキーを忘れて落胆していた小泉氏。売店に行っても売っていなかったのだが、あまりの落ち込みぶりを見かねたのか、
風の強さが写らなくて残念。後ろの木が
テントの高さまで左右に曲げられるほど...
小屋番さんは、大きなボトルをくれた。「明朝、飲んだ分だけ払ってくれればいいですよ」と、なんていい人!
おいしいつまみとお酒でほろ酔いになったころ、雨脚が強くなってきた。
前室に内側からストックを立てかけて、応急的な補強?をする。
が!だんだんと、風が強くなりだし、フライシートがパタパタとものすごい音をたてながら煽られている。
それでもうつらうつら、と寝ていた私だが、さすがに、尋常でない荒れように、寝ていられなくなった。とにかく音がすごい。
シュルルルルル〜!!、グォオオオオ〜〜!!!と竜巻でもせまってるんじゃないかという風の音が、遠くから近づいてきて、猛烈な勢いでテントにぶちあたってくる。つぶれるどころか、そのまま吹き飛ばされるんじゃないかという勢いだ。妙高大神がお怒りになって竜が暴れまくっているような、そんな感じの荒れ具合。小屋の扉にかかっていたベルはとっくに吹き飛び、なんだか分からないけど、バタンバタンと音をたてている。
あたりの木々も全部ふきとばされたんじゃないかと思うほどだったが、風がおさまって外に出てみると、案外変わらぬ様子で、余計に狐につままれたみたい。とても奇妙な夜であった。
小屋番の男性が外に出てきたので、「地形的に風が強いんですか??」と聞いてみると、「いや、昨日はすごかったですね」と一言。
いやいや、ほんっとに恐ろしかった。



下山は三ッ峰の尾根を歩き、大倉沢に下りるルートにする。
大倉沢が増水しているかも・・・雨の量は多くなかったので、行ってみることにした。
雨と風の中の尾根歩きは、体力、精神力ともにきつい。
あのグォオオオオ〜と時折唸る風
の音を聞くと無事に帰れるか不安になる。

大倉沢は問題なく渡ることができ、あとは燕新道を下るだけ。
河沿いの野天風呂をすぎると林道あるきになり、登山口に到着。



ずぶ濡れになって下山。
このところ雨具が大活躍



温泉に浸かりながら、燕の凛々しい飛行をボーッと眺めた。

何度も山へ足を運べば、気象条件もいろいろだ。その度に新しい体験をして、知恵を絞って対処して学んでいく。この”学び”が楽しい。
でも、こうした体験学習のようなしくみには、必然的にリスクも伴ってくる。”自分で体験しなければわからない”では、体がいくつあっても足りない。先人達が教えてくれる知恵、知識に耳を傾けながら、自分自身が体験をして自らの知恵を得ていく。このバランス感覚こそ、冒険にもっとも必要な感性ではないかと思った。 
それにしても、やっぱりあれは幻の竜だったんじゃないのかな。  (報告者:A)
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