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山行日 平成17年10月18日(火)・19日(水)
天 候 10/18:曇り 10/19:晴れ→曇り
人 数 二人
行 程 扇沢→(柏原新道)→種池山荘 (テント泊)
種池山荘→爺ヶ岳(冷池山荘方面へ散策)→種池山荘
→(柏原新道)→扇沢
アクセス 長野道豊科ICより大町方面へ北上
黒部ダムの標識に従って西へ進路をとり扇沢へ
扇沢駐車場より1k程手前に爺ヶ岳登山口駐車場あり

何年か前、初めて黒部へやってきた時に道中ひときわ目立っていた山が爺ヶ岳だ。どっしりとしたピラミッド型のフェースがモルゲンロートに染まり、息を飲む美しさだった。これまで度々、針ノ木から爺ヶ岳への縦走、五竜岳から鹿島槍、爺ヶ岳への縦走などあれこれとルートを考えていたけれども、実行の機会がなくおあずけとなっていた。
あの山もこの山もと、欲張るからいけない。ならば、爺ヶ岳一本に絞って、のんびり秋山テント泊を楽しもうではないか!

大町から扇沢へ向って車を走らせると、だんだんと色付いた山々が姿を見せる。あいにくのガスでその色は鮮明とはいかないが、モコモコと山肌に毛糸の玉を転がしたみたいだ。
爺ヶ岳登山口は扇沢大駐車場より1k程手前にある。爺ヶ岳稜線からこの登山口に向って流れるのが扇沢。その沢に架かる緑色の橋を渡った右側に小さな駐車場があったので、停めることにする(登山口正面にも数台のスペースあり)。
山頂は寒いんだ!と言い聞かせて、フリース、ウィンドブレーカー、手袋など詰め込んだザックは1泊2日とは思えないほど膨らんでいる。その上、食料もたっぷり積んでいるので、見た目通り充分な重さ。一方、小泉氏はテントが小さくなったせいか、テント泊とは思えぬコンパクトなザック。ちゃんと防寒着持った??カッパは??などとチェックしてみるが、大丈夫、万全のようだ。
爺ヶ岳登山口
モミジの屋根の下を通って
登山道脇にはシャクナゲが多く、花の見頃に通ればさぞ華やかに違いない。ちょうど一時間程で小石が積まれたケルンを通る。ここから種池山荘が見えるはずだが、濃いガスに包まれ向かいの尾根すら見えなくなっている。ただ、はっきりと浮かび上がるのはやはり扇沢大駐車場だ。まだ、これだけしか登ってないの?
ここからは様子がガラッと変わって、葉を落としたダケカンバが寒々しい。その変わり、足元はふかふかの落ち葉の絨毯だ。一枚岩をすぎると石畳の水平歩行が始まる。道幅も広くまるで東海自然歩道でも歩いているかのようだ。ちっとも休憩をとらないパートナーに「いつ休憩するのー?休もうよ!」と不機嫌に声をかける。
登山口でしっかりストレッチをして、いざ出発。階段状の登山道を小気味良く登っていくと、真っ赤なモミジの木が目に留まる。赤い屋根の下にいるようで、陽があたれば一層輝きを増すに違いない。ジグザグに尾根道を30分ほど登ると八ッ見ベンチ。扇沢大駐車場を見渡すことができ、その車の多さに少しびっくりする。左手前方には、艶やかな裾を広げるスカートのような尾根。高度を上げれば、また違う木々の紅葉を楽しむことが出来る。
パッと開けた低木の紅葉帯
落ち葉の絨毯を歩く
ガスに包まれるダケカンバの大木
疲れているわけではないが、名前の付いているポイントを何度も素通りされると、精神的にガックリくるものがある。
歩いている間にダラダラと流れていた汗は、足を止めるとアッという間に引いてしまい、寒さが押し寄せてくる。水分補給とパンをかじって早々に出発する。
すっかり辺りは濃い霧に包まれて、変わらぬ単調な登山道に少々辟易していると、”落石注意”の看板が目に入る。なになに?”ここで一呼吸おいて下さい。よく耳をすまして落石の音がしないか注意して下さい・・・”落石に対して具体的な注意事項が書いてある。緊張の面持ちで先に進むと、なるほど、見事なガレ場のトラバースだ。雨の日なんかは遠慮したい崩壊地である。落石も怖いが道幅も狭く足元が取られそうで緊張する。
ここからは稜線へ向って高度を上げる。登山道脇がタイヤで整備されているのを見て、”お!これは小屋が近いかも”と思いきや、これはカモフラージュ(?)。樹林帯を抜け開かれた草原地の中の
鮮やかなフレアースカートのような尾根
木道の階段を登っていると、忽然と目の前に小屋が現れた。ちっとも登った気がしないし、何も見えないし・・・いったいここはどんなところなのかいな。

小屋締め間近とあって、スタップが雪よけ用の鉄板を窓に貼り付ける作業をしている。小屋の左手の小道をナナカマドに囲まれて歩くと、きれい整地された
テント場が現れる。最盛期には隙間なくびっしりとロープを交互にしながら張られるという。テントの出口は隣りの入口、という具合だろうか?もちろん、本日はどこに張ってもOKの貸切!いつになく早い時間に到着した私達は、ばっちりペグを打って、フライも張り縄もきっちり張って満足。余裕があるっていいねぇ、しかも雨・風なしの好条件。靴を脱いでどっかり腰を落着ける。今日はガスも切れそうにないし、爺ヶ岳は明日登ることにして・・・。「どーするの。まだこんな時間!新聞でも持ってこれば良かったな〜」 と、これは”クタクタ”とか”ギリギリ”が好きな小泉氏の談。ハード登山は大いに結構だが、のんびり登山もまた別の楽しみがあるというものだ。
大規模なガレ場に”くの字状”に通る登山道
この度もテント場貸切! ”山のごはん”の域を越える本格派
今回は豪勢な本格キムチ鍋。秋山は生野菜や生肉などを持ってきてもあまり心配ないのがいい。豚肉、白菜キムチ、エノキ、ニラ、豆腐、にんにく、春雨など、自宅で作るキムチ鍋と遜色ない。これは山のごはんの域を越えているので、ある意味失格かな。辛い鍋に小屋で買ったビールが良く合い、次に鹿児島限定芋焼酎に舌鼓を打つ。テントの中で食べるご飯は、小さな頃のおままごとと一緒だ。鍋も調味料もちまちまとおもちゃみたいで、作ること自体が遊びになっている。

たっぷりありすぎると思った時間も、瞬く間に過ぎ気付けば9時をまわっている。テントの外を覗くと、三角屋根の小屋のを飲み込むように黒いピラミッド型の山が見える。あぁ、あれが爺ヶ岳なんだ。明日はきっと晴れる!あ〜、早く連なる山々に会いたい!     2日目へつづく→

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